イタい話。(スタジオで最も気をつけていること)
私が撮影の現場で最も気をつけていること。そして、写真教育の現場でも常に掲げていること。 それは「安全第一」である。
まるで工事現場のスローガンみたいだが、華やかに思える撮影だって、本質は泥臭い「現場仕事」に他ならない。
Abox Photo Academyでは、アート講座こそ座学中心だが、ステイルライフ講座では約半分、コマーシャル講座にいたっては7割がアトリエでの実習となる。そのため必ず初回の授業でこの「安全第一」の本質を伝えるようにしている。
実は私自身、撮影プロダクションに就職して3ヶ月が経った頃、スタジオで大きなケガを負った。しばらく後遺症に悩まされたその苦い経験があるからこそ、これは絶対に譲れない一線なのだ。
撮影現場において、守られるべき優先順位は明確である。
1 人命(身体)
2 撮影商品(クライアントの大切な資産)
3 機材
「カメラはプロにとって命の次に大事」と仰る方もいるかもしれないが、「取り返しのつかないもの、換えが効かないもの」の順に考えれば、答えは明白だろう。
さて、そんな風に日頃から口やかましく言っている自分なのだが……先日、撮影中に不覚にも火傷を負ってしまった。 怪我自体は幸い大したことはなかったのだが、独立以降、現場ではずっと無事故を通してきただけに、精神的なダメージの方が大きかった。
原因は、ライティングの調整中に、照明機材のリフレクター部分が腕に接触したことだ。 冷静に振り返ると、事故の要因はいくつか重なっていた。
• 機材のメンテナンス不足: モノブロックストロボの放熱ファンが不調で、機材自体が異常な高熱になっていた。(撮影後、排気溝に掃除機を当てたらファン回転が速くなった。日頃のケア不足を猛省している)
• 服装の油断: 通常は夏場でも身を守るために長袖を着用するのだが、暑さに負けて半袖で作業していた。
• 一瞬の注意不足
さらに追い打ちをかけたのが、近年の酷暑だ。火傷はすぐに冷やすのが鉄則だが、水道をひねっても出てくるのはぬるま湯状態。初期冷却がうまくできなかったことも響いた。
しかし他のスタッフやお客様を巻き込まなかったことは不幸中の幸いである。
◇
たぶん、この火傷の跡は消えずに残るだろう。しかしそれは「油断するな」という戒めだと思っている。
いつもブログには記事にまつわる写真を添えているが、おじさんの痛々しい傷口の写真など誰も見たくはないはずだ。 ただ、その傷の形が、図らずもライトのリフレクターの美しい曲線を描いていた。
そこで今回は、私の作品『群青』の中から、その曲線を連想させる「三日月」の写真でご容赦いただきたい。
最近はストロボのモデリングライトもLED化が進み、従来のハロゲンランプのように熱を持たない製品が増えている。
しかし、「照明機材は本来、強烈な熱を発するものだ」という基本認識は、時代が変わっても絶対に忘れてはならない。
写真を楽しむ皆さんも、撮影に熱中するあまりの「一瞬の油断」には、くれぐれもお気をつけいただきたい。





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