ある企業の依頼を受け、スタジオワークのコンサルタントとして1泊2日の出張に。
訪問先に関しては企業名はもちろん市町村名も明かせないが、東京では見頃だった桜もここでは蕾が膨らみ始めたところだった。
会場は電波が完全に遮断された地下のスタジオ。電話もネットも使えない状況って、いつ以来だろう。でも、レクチャーや作業が捗り充実した時間となった。
出張先の室内で撮影するときはスタジオであろうと会議室であろうと、与えられた空間の中でどういう風にセッティングするか、最初に頭をフル回転して臨むことになる。
1、僕がまずチェックするのは窓の位置。自然光での撮影であれば当たり前のことだが、照明機材を使う場合でも撮影に関係のない光が干渉しないように遮光できるかどうかを判断。
できない場合は、どの位置で撮影すれば影響を緩和できるかを考える。
2、同様に天井についている蛍光灯などの環境光をOFFにしても問題がないか確認。
広いオフィスの一角を与えられての撮影もあるが、こちらの都合で勝手に照明をオフにして、勤務なさっている方々が仕事できないのでは困る。
とはいえ、蛍光灯をつけたままでは緻密なライティング作業に難が生じる。
3、次にコンセントの場所。撮影照明の使用に関わらず、僕は必ずPCに接続して撮影するので電源が必要になる。
4、あとは撮影の内容によって被写体の位置を決めてセットを組み立てていくのだが、僕は「間口を塞がない」ことを大切にしている。ドアの開閉に支障をきたすようでは迷惑だし、そもそも危険だ。
そう、僕が撮影の現場で最も大切にしていることは「安全が最優先」ということ。
その作法を意識すれば、あとは回数を重ねただけ上達する。
参加したスタッフの方々はライティングの奥深さを心底楽しんでくださったようだ。
そして2日間のレクチャーを終えクライアントのオフィスを後にしたのだが、五輪の延期と首都圏の外出自粛要請の報は帰りの新幹線の中で知ることとなった。
僕の仕事もすでに5件のミーティングが延期になり、撮影も数件が仕切り直しになった。(中止ではなく延期であることを願っている。)
一定期間、軟禁状態になるのもウィルス拡散防止のためには仕方がないことだろう。
今回は真面目にノウハウ的なことを書いてしまったが、これって、自分の家で撮影するときにも、そのまま置き換えられるお話。
いつもは風景写真やスナップを楽しんでいる方も、この自粛ムードを利用してStill Life(静物写真)に取り組んでみられてはいかがだろうか。
室内灯を消して、窓や隣の部屋から差し込む光に目を凝らしてレンズを向けてみると、きっと新しい発見がある筈。
そして「もっと深めてみたい」と興味を持たれたら、、Abox Photo Academyへどうぞ。
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