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  • t.takasaki

作品としてのStill Life

私事ではありますが、ブログ「アート雑感」でもご紹介いただいた通り、高崎勉 個展

「いまどこにいるの」が2021年5月15日からスタート。



個人的には「挑戦」とか「頑張る」という言葉は、なんとなくアマチュアに向けて使う言葉のような気がして普段は口に出さないのだけれど、今回の展示にはいくつかの「挑戦」があった。


その一つは日常的に撮っている静物作品(Still Life)を展示するということ。






僕はStill Lifeを中心とした写真家だから、作品も被写体が「物」であるアプローチが多いのは当たり前。しかし普段プライベートの時間を割いて撮っている小物などの静物写真は、額装して展示するというより、広告のクリエイターたちへのプレゼンテーションとして使うことが多かった。


しかし、展示会場は風光明媚な撮影スポットに囲まれた風土で写真愛好家の多い富山県の「ミュゼふくおかカメラ館」である。

そこで過去に多く展示されてきたのは、風景写真や動物写真、天体写真、もしくは国内を巡回しているフォトコンテストの優秀作品など。


そうした作品を見慣れている方たちの目に、お酒の瓶や小物にレンズを向けた僕の静物写真はどんな風に映るのだろうかと。






この挑戦にはきっかけがあった。


ミュゼふくおかカメラ館の金山館長が、一般にも親しみのある人気写真家にだけスポットを当てるのではなく、世界的な現代アーティストの作品の招聘を試みたエピソードを耳にしたこと。

実現に至らなかったその作家名は出せないが、金山館長が今までの壁を壊して、地元の人々にショックを与えたいと思って行動していたことに、僕は胸を打たれた。



まだ初日の2日間しか在廊していないが、普段クリエィティブチームの一員として作り上げる広告写真とは明らかに違う、作家個人による静物写真の世界に鑑賞者を引き込んでいる手応えがあった。


それと同時に芸術、アートとしてさらに昇華していくための作家としての文脈を強化する必要も感じた。


その答えは、決して制作の手を止めないこと。


ポスターの絵画で知られるレイモン・サビィニャックのような圧倒的な作品量が僕にはまだまだ足りない。


次の目標は全館をStill Life作品で埋められるほど数を、飽きさせないほどの熱量を持って展示すること。


言葉にしたくはないが、まだまだ「頑張る」決意をしたオープニングとなったのだった。



写真展は2021年7月11日まで。

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