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  • Abox Photo Academy

Abox People Vol.9「アートフォト講座 Advanced Plusコース」受講生 大塚栄二さん インタビュー



現在、福島県に在住の写真家 大塚栄二さん(アートフォト講座 Advanced Plusコース受講生)に Onlineでお話を伺いました。新作「ちょうぴらこ」のこと、そして来春からスタートする大塚さんが講師を務める講座「改めて写真の基礎を学ぶ講座 ~イメージ通りに写すために~ 」に込める思いを語っていただきました。



聞き手 Abox Photo Academy  塾長 高崎勉

講師  松龍


 

【新作のテーマ「ちょうぴらこ」って何?】

高崎:今月の授業(Advanced Plus)に、大塚さんはOnlineでご参加くださったわけですが、今日はその流れでzoomでお話を伺いたいと思います。


大塚:よろしくお願いします。


高崎:まずはAbox写真展(2021年2月)に向けての新作のお話から伺いたいと思うのですが、過去に撮られた家族写真からのセレクトで構成されたシリーズですよね。作品のテーマ「ちょうぴらこ」って何ぞや?っていうところからお聞かせいただけますか。


大塚:「ちょうぴらこ」って「座敷わらし」のことなんですが、座敷わらしと言ってもいろいろな種類、ランクがありまして、「ちょうぴらこ」って一番最上級の座敷わらしなんですね。


松龍:へえ~そうなんだ。知らなかった。


大塚:対して一番低級なのが「ノタバリコ」「ウスツキコ」などがいて、そいつらはイタズラばっかりしていくんですが、「ちょうぴらこ」ってその頂点にいて幸せとか富をもたらすって言われてるんです。

で、私が作品でイメージしているのは「幸せをもたらすもの」という意味での「ちょうぴらこ」なんです。


高崎:この時代に「ちょうぴらこ」をテーマにするというのは?


大塚:Aboxの中にも「Inside Journey」という、コロナ禍で何を表現するか?っていう講座がありましたし、同じクラスのritsuko matsushitaさんや山本瑛美さんが素晴らしい作品を発表なさろうとしている中で(※1)、私もコロナをテーマにした作品を考えても見たんですが、あえて自分がこのコロナ禍そのものを取り上げることはしなくていいのではと思ってしまったんですね。

でも、何ヶ月も東京の実家に帰れず1人暮しの母に会えない時期があって「当たり前のことができない。」となった時に、前から気になっていた「ちょうぴらこ」っていう存在とテーマが繋がったんですよ。


(※1 ritsuko matsushitaさんは2021年2月に、山本瑛美さんは2020年12月に個展を開催予定)


松龍:なるほど。


大塚:「ちょうぴらこ」をテーマにするというのは、いつも当たり前のようにそばにいるんだけど、それが離れていった時に大切な儚いものだったと気づく感じ、それを表現したかったんです。





作品「ちょうぴらこ」より




大塚:2年前に家族と住んでいる長野から単身赴任で福島に転勤したんですが、まだ長野にいた時から既に「ちょうぴらこ」をテーマにして作品を撮り始めてはいたんです。それが福島に移ってより身近になって、、、元々好きだった遠野物語(※2)の舞台の岩手まで実際に行って雰囲気を感じて、「ああ、これは今取り組むテーマとして間違ってなかったな。」と思いました。


※2遠野物語:岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承などを記した柳田国男が発表した説話集。



松龍:オンラインで「Inside Journey」っていうワークショップをやった時にも、大塚さんと同じ感覚を持った方が多いなと思って、、、コロナになって「日常って何?」とか「日々の幸せって何?」っていうのは、みなさん結構考えてた。

そこで大塚さんが自分にぴったりな単語として、前から使っていた単語だけど「ちょうぴらこ」っていうものが具体的なテーマとしてフッと上がってきたっていうのは、よくわかると思いましたね。


高崎:作品が生まれるまでのストーリーを聞かせていただいたんですが、テーマをこれでいこうと決めてから、何を撮るのか、何を選ぶのか、モチーフの選択などは?ということに関して聞かせていただけますか?


大塚:自分にとって「ちょうぴらこ」ってなんだろうって考えると、さっきは年老いた母のことを言いましたが、娘や息子の存在も大きかったんですよね。同じように随分長く会えない。

そして、さらに考えると私の父が4年前に亡くなったんですけど死に目に会えなかったんですね。最期は僕の名前を何度も呼んでいたそうで。それを思い出した時に、父にとっての「ちょうぴらこ」は自分だったのかなって。


作品「ちょうぴらこ」より




大塚:今お話ししたことはパーソナルな話なんですけど、見てくださる方にご自身のこととして受け止めてくださるんじゃないかと思っています。


松龍:自分の気持ちを吐露して、それが受け止められるかどうかというのは多分、世界中の表現者が、巨匠も駆け出しの人も皆んなが抱く悩みですよね。大塚さんがここで大きなチャレンジをしてその反応を受け止められるかということは、大塚さんの1ファンとしても楽しみですね。


大塚:今まではどちらかというと被写体が風景だったり、人だったり、わかりやすい作品が多かったように思うんですが、今回はもしかしたら一部の方には伝わりにくいものになるかもしれない。それでも皆さんにどうか感じてもらえるのかな?ということを現場で確かめたいと思っています。



作品「ちょうぴらこ」より