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  • Abox Photo Academy

Abox People Vol.8 「アートフォト講座」受講生 松下律子さん インタビュー

松下 律子さん

アートフォト講座アドバンストコース Plus受講生の松下律子さんが「写真新世紀2019年度(第42回公募)に佳作入賞いたしました。東京都写真美術館(恵比寿)での受賞作品展を目前に控えていらしゃる松下律子さんにお話を伺いました。松下律子さんは当校の講師 松龍先生の奥様でいらっしゃいます。松龍先生にも加わっていただき、作品作りに至る経緯、ご夫婦でそれぞれに写真作家として歩む生き方について掘り下げていきます。


                   聞き手 Abox Photo Academy 塾長 高崎 勉



【 いつか宇宙に還る 】


高崎:律子さんには、以前からインタビューしたかったんですけど、写真新世紀入選のこのタイミングでは、「おめでとうございます」っていうところからしか始まらないですよね。(笑)本当におめでとうございます!


律子:ありがとうございます!


高崎:どうですか、今の心境は?


律子:何より嬉しかったですね。もちろん驚いたんですが。


高崎:前の授業の時にね、その日は会った時から「なんかソワソワしてるな。」とは思ってたんだけど、講座が終わってから「実は受賞の連絡が来ました。」って報告を受けたんですよね。その時、律子さんに「あ、そう。あまり驚かないけど、おめでとう、。」って言ったの覚えてます。


律子:そうでしたね。(笑)


高崎:当然だよな。と思っていたのもあるし、その反面「コンテストは水ものだし、、」とも思ってたから。Aboxのアドバンストコースのクオリティなら充分にその可能性はありますからね。そもそも応募する時って手応えがあるから出すわけじゃないですか?(笑)公募展は元々視野にあって事前に調べられていたのですか?


律子:公募展で、私の作品を選んでくれるとしたら写真新世紀しかないだろうな。っていうことは暫く前から思っていました。


高崎:ちゃんと調べていらっしゃったんですね。


律子:それほどでもないですけど、写真をやっていると情報が耳に入って来ますよね。すると、どの賞がどんな写真を選んでるか。って分かってくるじゃないですか。

過去の受賞作品を見ていると、自分の撮ってる写真がどっちの方に向いてるかみたいな感じのことは何となく見えてきます。「ここは私の写真なんて目もくれないだろう」というところもあったり、興味を持って見てくれるんじゃないかと思うところがあったり、出したくても年齢的に受け付けてもらえないものもありますし、、。なんとなく自分で考えて、ある程度の作品が出来上がったら、たぶんここだ。といふうに思っていたのが写真新世紀でしたね。


高崎:律子さんに関しては、この受賞作「いつか宇宙に還る」の制作前から、Aboxでの提出作品のテーマの目の付け所が面白くって、一度頭の中を覗いてみたいって思ってたんですよ。


律子:そうなんですか?


高崎:そう。で、特に今回の受賞作品「いつか宇宙に還る」は内容がちょっと特殊なこともあったけど、とても深みがあるし、使った砂の取材のために山口まで行ったと伺った辺りから、面白いなと思ってたから。まずはそこから掘り下げさせてください。





いつか宇宙に還る


高崎:この作品を作ろうと思われたのは2年ぐらい前だっていうことだったんですけど、そのきっかけなどを話してくださいますか。


律子:写真を撮り始めると、最初は「綺麗に撮れる」とか「撮りたいように撮れてくる」っていういことが楽しくなってきますけど、しばらくすると「自分の作品を撮る」ということを前提に、「何をテーマにしようかな」って考え始めるんじゃないですか。

いつか作品にしてみたいって思ったイメージが、子供の時に感じていて、大人になった今でも時々感じることがある自分の存在に対しての不信感であったり、自分の体が無くなっていってしまうような不思議な感覚を持ってる子供の頃の体験、、、そういうものを作品に出来たらいいなっていうふうには思ってました。

でも具体的にどうしたらいいかっていうことは、最初の頃は全く、、、あの砂のアイデアももちろん無かったし、、、わからなかったですね。


高崎:じゃあ、テーマに結びつく思いは「写真を始めたから」っていうことよりも、前から持ってた気持ちだったんですね。自分の子供時代のことを何かで表現したいという様な気持ちは以前から?


律子:いえ、「表現したい。」っていう風に思ったの写真を始めてからです 。


高崎:やっぱり写真があったからなんだ。


律子:そういう感覚と記憶があったというだけで、 、、表現しようと思ったことは全くなかったですし、それを誰かに話したことすらなかったです。


高崎:写真をやっていることでスイッチが入ったんですね。表現方法って色々あって、歌にする人もいれば小説にする人もいて、さらに違う表現もあるけど、やっぱり写真表現と出会ったからなのでしょうかね。ところで写真始めたきっかけって何ですか?


律子:私、失業したんですよね。会社がなくなっちゃったんですよ。。


高崎:ええ~っ!


律子:それまではバリバリ働いて、ある程度の収入を得ていた私が、再就職するのなんてそんなに苦労しないだろう。と思っていたら大変苦労しまして、、。その時にガツンと来たって言うか、「私って今まで何をしてきたんだろう」というような思いになって。

ちょうどそんな時に松龍からカメラのお古が下がってきて、触ったらちょっと面白くなって。

今まで、生きていくために仕事をするか、家のことをするか、、、それくらいしかしたことがなかったんですよね。


高崎:そういう空っぽになっちゃった時にカメラに触れる機会があって、更に深めようと教室に習い始めたということですね。


律子:そうです。


高崎:写真始められた時って、誰もがスナップだったり、街の綺麗な風景だったり、旅行先で自分の見た綺麗な風景を残したい。というところから始めるのが普通だと思うんですけど、最初の頃はどうでしたか。


律子:私チョコレートがすごく好きなんです。食べたチョコレートを全て記録に残そうと思って最初チョコレートばっかり撮ってました。


高崎:ブツ撮りから入られたのですね。(笑)それはブログに上げたりとか、誰かに見てもらうためでしたか。


律子:ブログには上げていましたが、どちらかと言うと誰かに見てもらうというより自分の記録のためでした。その時は撮れてた気になってましたけど、今見るとやっぱり、、「どうだろうなあ」っていう感じがしますね。


高崎:それはピントが合ってないとか、明るさが足りないとか技術的なこと?


律子:それだけではなかった気がします。


高崎:多分、意識して色んな写真を見てなかったから、「まあこんなもんだろう」みたいな自己満足で終わってたのかな。


律子:多分そうなんでしょうね。誰かと比較して撮ったこともなかったですし、「分かりさえすればいいや」っていう感じでしたから。


高崎:自分の写真がイマイチかな?って感じだしたのは、ネットとかで人に見てもらってからですか?


律子:SNSで「いいね」ってつけてくださっても、写真がいいのか、記事がいいのかはわからないですからね。写真教室に通い始めて人に写真を見せて講評してもらい、その教室で他の生徒の写真を見る。となってからですよね。自分の写真が分析できるようになったのは。