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Abox Photo Academy

被写体は見つけるものか、創り出すものか

Q:被写体は見つけるものか、創り出すものか

A:表現したいものがあれば、前提は不要



 写真家とは、とか、写真とは、という話をよく聞くし、自分でもする。


 世界は予測がほとんどできなく、次の瞬間は何が起こるかわからない。

だから、目の前に起きる現象に感動するし、それに巡り会えたり、そこを見つけた人を賞賛したりする。

 この写真にもそれはあるだろう。人が呼吸をし皮膚がそれに連動しているのだから。

でも、そんなことはとても小さい要因だな。と思ってその場に圧倒されて立ち尽くした。

考えることをやめて、作品から発せられる息づかいを「感じる」ことで新しいものを吸収したくなった。


 アトリエで作曲をしながら楽譜を肌に記述していく、そしてそれを撮影するというのだが、できあがりのモデルのポーズと楽譜のラインとの融合は見事だ。

僕は楽譜は読めないが、描かれている記号からは人が太古から持っている感覚を呼び起こされた。

 実際には4つの作品の前に立つと、この楽譜に書かれている音楽が流れてくる。

音楽と写真の融合をはかろうとしている作家は結構いるがこれほどまでに見事に別の次元へ連れて行ってくれる作品には初めて出会った。この作品をカテゴライズすることはできない。スティルライフ、ポートレイト、メディアミックスどれでもないだろう。


 これだけ感銘を受けた作品だが、オマージュのように自分でもとってみたいという感情には全くならない。似たようなことをやっても仕方がない。安っぽくなるだけだ。この仕事は彼に任せておこう。と心から思う作品だった。そしてプリントをコレクションしたくなった。



原寸大の大きなプリントであり、少しマットな紙をつかっているからか、肌の質感のとてもよく感じることができた。モデルは日本人も何人か起用されているようで、日本人のきめの細かい肌の質感も美しかった。


 このような作家を掘り起こし、銀座の本当にど真ん中の一等地で無料で展示会をするシャネル。美しいものに対しての力強い気持ちを感じる。創造するということに強い信念があり、飛び抜けた創造者にたいして支援をしていく、そんな姿勢を感じた。

 何か関連する商品とタイアップして販促活動的なことをする企業、それを当てにしている作家とは全く次元がことなると感じてしまった。


 外は銀座の金曜日の夜を楽しむ観光客とサラリーマンが多く歩いているが、この空間はほんの2,3名しかおらず、誠に贅沢の極みであった。

 金曜日の夜の飲み会で人脈をつくるのもいいが、アートをする「時間」をもつことが豊かになる。


作家の名前は

ヤコポ バボーニ スキリンジ(Jacopo Baboni Schilingi)

肩書きは現代作曲家


作品タイトルは

"Bodyscore – the soul signature"

2/16まで銀座シャネル・ネクサス・ホール(CHANEL NEXUS HALL)にて。


※館内は鑑賞者の妨げにならなければ撮影もOKだそうです。インスタ撮影地とならないう

ちにいかれることを推奨します。



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