- Abox Photo Academy
写真家 松龍 スペシャルインタビュー
更新日:2020年10月12日
ABOX PEOPLE VOL.1 「写真家 松龍 スペシャルインタビュー」
interview Vol.1
写真家 松龍 スペシャルインタビュー
聞き手:高崎 勉 (Abox Photo Academy 塾長)

Abox Photo Academyの講師である写真家「松龍」こと松下龍士氏による個展「宙と墨」が、2017年6月9日からSony Imaging Galleryにおいて開催されます。会期を目前に控えた松龍氏にお話を伺いました。
高崎 : 今日はお忙しいところありがとうございます。個展開催まであとわずかとなりましたが、準備は終わりましたか?
松龍 : はい、プリントは全て終えて額装の手配もしませましたし、あとはオープンを待つのみです。
高崎 : 会期中にトークイベントをなさるということで、その第2部では光栄なことに僕がお相手をさせていただくことになりました。その展示作品「宙と墨(そらとすみ)」の詳しいお話は会場でじっくり掘り下げるとして、今日は松龍さんの活動全般のお話から現在に至る経緯を伺いたいと思います。

松龍 : はい、よろしくお願いします。
高崎 : 先に僕と松龍さんの出会いを説明しておくと、僕が主宰する写真講座「Takasaki Seminar」の門を叩いてくださったことから始まりましたね。そして僕が松龍さんの作品のテクニカルな部分をアドバイスする関係になりました。
松龍 : そうでしたね。出会ってすぐに高崎さんの「Dream」という作品からインスピレーションを受けて、「くうをみる」という最初のシリーズ作品をまとめました。
写真との出会い
高崎 : 前から一度聴きたかったんだけど、そもそも写真を始めた経緯ってなんだったんですか?
松龍 : 祖父が中判の蛇腹式のカメラを持ってたんですよ。そのうちの一台くれたんですね。
高崎 : え、いきなり中判(ブローニー)?
松龍 : メーカー名とか覚えてないんですけど、それで撮り始めたのがきっかけです。写真というよりカメラが好きで撮りました。で、祖父は現像とプリントも自分でする人だったんですが、どうも引き伸ばし機は手作りしてたみたいなんですよね。で、それも「あげる」って言われたので始めたんです。
高崎 : 何歳頃の話ですか?
松龍 : 小学校5年生くらいだったかなあ。

高崎 : えっ、小5で中判カメラに引き伸ばし!?
松龍 : そう、だからお金ないじゃないですか。写真屋にプリント出すとお金かかるから、薬品買ってきて現像して。焼きつけるのも印画紙さえ買ってくればいいので、。
高崎 : いや、普通の小学生は薬品買わないで、現像とプリントはDPE屋さんに出すでしょう。(笑)
松龍 : だからそこが面白かったんですよ。撮るだけというより、撮った後に現像してフィルムから像が出てくる、それを焼きつけるといった工程がめちゃくちゃ面白いから。、、で、当然暗室なんかないんですよ。押し入れとか、地下室とかね、とにかく夜に作業するっていう。暗くなんないとできないから。
高崎 : 大体、僕の感覚では、そういうことに興味を持つっていうのは高校生、もしくは大学生なんですけどね。周りでそんな友達は他にいました?
松龍 : 誰もいない。で、写真部っていうのがあって、一人、二人はいた。
高崎 : 都会の子ってそうだったんだ。そもそも小学校に写真部があるだなんて。
松龍 : だけどほぼ、その人たちとは群れてないので、カメラ屋さんに行って聞いてましたね。ヨドバシとかさくらやといった量販店は昔はカメラしか扱ってなかったから専門的なものも扱ってて、薬剤もたくさんあったし、フィルムもロールで買って「こうして詰めて使うんだよ」って店員さんが教えてくれたから、そこで習った。。
高崎 : じゃあ、その時期にかなり基礎は身につけてたんだ。