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t.takasaki

「好きなものを撮ればいい。」

更新日:2020年10月12日

写真教室 Abox Photo Academy


 

10月になりました。

Aboxも新体制となり、いよいよ僕のアトリエで「商品撮影Stepup講座」がスタートです。

狭くて雑然とした空間ではありますが、普段はクライアントとクリエイターしか立ち入ることのできない創作の現場がその舞台となります。






3期目を迎えるこの「商品撮影講座」は、レクチャーとトレーニングの繰り返しで構成されていますが、年間で約5回の課題(宿題)もあります。


「普段の生活の中で商品撮影の課題制作は負担になるのでは?」と当初は心配していましたが、これまで受講生の皆さんは毎回楽しんで向き合ってくださっています。


講座のテーマは「プロダクトカット」から「イメージカット」まで多岐に渡りますが、

受講生の誰もが悩むのが、被写体を指定した課題よりもイメージカットの自由課題のようで、「一体何を撮ったらいいんだろう?」ということで苦しむようです。


商品撮影というカテゴリーですから、カメラを持って近所を散策、、、なんていうことでシャッターチャンスに偶然出会うということはありません。



実は僕も修行時代は何を撮ればいいか判らず悩んだ時期がありました。


勤務していたのは商品撮影に特化したスタジオでしたし、僕自身がスティルライフの道に進もうと決めていたものの、ジュエリーや高価なファションアイテムは容易に入手できません。


既に結婚している同僚は、奥さんから買ったばかり化粧品のボトルや口紅を、使用する前に借りて写真を撮らせてもらったりしていましたが、当時の僕には(今ほど)女友達もいなかったし、バブルの好景気に湧く時代に安月給の身では、フォトジェニックな品物を買うこともできません、、、。


そう悩んでいた時、師匠が助け舟を出してくれました。


「好きなものを撮ればいいんだよ。」


シンプルな答えですが、この一言がずっと支えになっています。

お酒、グラス、楽器、香水の瓶、、、身の回りにあるものに自然と被写体として注目するようになり、僕のポートフォリオ(作品のブック)は、どんどん膨らんでいきました。

今でもお酒の作品が多いのは否めませんが。。




そしていま、僕にアドバイスを求めてくる弟子や受講生にも同じことを伝えています。


商品撮影の講座だから人を撮っちゃいけないなんて、堅苦しいルールは僕の講座にはありません。

人が好きだったら、人が身につけた「もの」を撮れば良い。

旅が好きだったら旅先で「商品」を撮れば良い。


大切なのは、なぜ、それをそのように撮ったのかという「動機」。

そして最もいけないのは「思考停止」。

撮れないなら、せめて考えて、感じて、その思いを伝えてくださるだけでも課題は成立します。

(もちろん遅れてでも写真として提出してもらいますけどね。)


変わった講座だと思われるかもしれませんが、世界に一つしかない写真講座だと自負しています。


今日集まった新しいメンバーもアトリエのドアを開けた時には不安の混じった目をしていましたが、授業が進むにつれ、その瞳に輝きが増していました。


一年後にはどんな成長を遂げているのか、今から楽しみです。

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