商品撮影講座の受講生からある質問を受けた。
「他の教室で『太陽は一つなんだから照明は一つでいい』って言われたのですが、どうして高崎先生はライトをいくつも使うのですか?」と。
この質問は、僕のライティングの理念に直結していたから躊躇なく答えた。
「写真を撮る場面の全てが太陽光を模した状況とは限らないでしょう。」
実際、僕の先輩にも1灯ライティングにこだわる方がいた。しかし様々な表現において1灯だけでは限度がある。
そして表現を突き詰めようとする人は、自ずから無駄な制約を課さない方がいい。
特に広告写真の現場ではクライアントやアートディレクターの要望に応えることこそが、
プロカメラマン求められていること。
その現場で
「私は1灯ライティングにこだわっているんです。だって、太陽は、、、、」
などという下りは意味を持たない。
「夏の日差しのような雰囲気に仕上げて欲しい。」とオーダーがあれば1灯を基本に進行する。だけど、僕たちの暮らしの中では様々なシチュエーションがある。
その全てのイメージに対応するには1灯だけでは表現できない。
プロダクトカット(切り抜き写真など)の場合もそうだ。
多面体の商品の立体感を伝えるには1灯とレフだけでは無理だ。
「では、プロとして活動するにはライトをいくつ持っていたら大体のものが撮れるのでしょうか?」と問われた。
ここで僕なりの答えを述べることにする。
「3灯。」
プロを目指そうとしなくても自分の表現を突き詰めたいという人は3灯あればなんとかなる。
Abox Photo Academy 「商品撮影講座」では、早い段階でその理由を論理的に解説している。
ちなみに僕のアトリエにはトータルで18灯のプロ用照明を装備している。
作品制作に挑むAdvancedコースのメンバーには「好きなものを好きなだけ使って作品を撮っていいよ。」と伝えているけど、
「2兎(灯)を追うものは1兎(灯)も得ず。」
そういう意味では、太陽の光を再現する1灯ライティングから照明を学ぶことは確かに正しいのかもしれない。
Comments